July 06, 2009

プレトニョフとロシア・ナショナル管弦楽団来日(ロシア音楽編)

土曜日は、ずっと楽しみにしていたプレトニョフとロシア・ナショナル管弦楽団(RNO)のコンサートを聴きに行った。サントリーホールで、席は舞台後ろのご対面席。1列目なので、オーケストラの団員と一緒になった気分で指揮を見ることができる(各パートに指示する時、目が合うような気がして余計な緊張をしてしまうことも・・)。
曲は、リムスキー・コルサコフの歌劇「雪娘」組曲、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲と交響曲6番「悲愴」というロシアもの3曲。最近はベートーヴェンやロシア以外の作曲家の音楽にも力を入れている彼だけど、チャイコフスキーとなると、やっぱり期待が高まってしまう。先週はボリショイ・オペラの「スペードの女王」でドラマチックで歯切れの良い、素晴らしい演奏を聴かせてくれた後なので、なおさらだ。

ヴァイオリン協奏曲の独奏は川久保賜紀。物語るような、抑えた精神性のある演奏。プレトニョフが指揮するオーケストラは、独奏にぴったりと寄り添い、時に歌い上げ、競い合う。まさに協奏曲という言葉通りの、オーケストラとソロが完全に溶け合った、繊細そのものの演奏に聞き惚れた。

最後の6番も素晴らしかった。プレトニョフの演奏はいつもそうなのだけど、今回も、CDやコンサートで聴いた彼のどの演奏とも違っていた。音楽がその場の雰囲気や勢いに流されたり、なんとなく、という音は一つもない。指揮をする表情は真剣そのものだけど、固い、ということではなく、指の先から自然と音楽が流れる感じ。普通の演奏とはタイミングや間の取り方が違うところがあるのだが、音楽としては自然で説得力がある。最後は胸を締め付けるような絶望(отчаяниеというロシア語が頭に浮かんできた)、それはこれまで聴いたことがないような演奏だった。どうしてそんな気持ちにさせられるのか、とても不思議だ。20年前に、ピアノ演奏で同じような体験をして、突然ロシア語を勉強したくなったことを思い出す。

それにしても、彼がピアノで表現したいことをオーケストラでやるのは大変だろう。ピアノの音では飽き足らなくて、オーケストラの音を使って自分の中のアイディアを形にしようとしているのだろうが、オーケストラは大集団だから、必ずしも期待に応えられるとは限らないだろう。それでも彼は無難な道は歩まない。それは表現したいものがあるから。いつもうまくいくとは限らないだろうけど、そんなことよりも大切なことがあるのだろう。

前に楽屋におじゃました時、彼は日本語で「オンガクハスキデスカ?」と話しかけてきた。その時は、なんてシンプルなことを聞くのだろうと思ったが、時がたつにつれて、深い言葉だと思うようになった。プレトニョフの演奏は、単に構成やアイディアが素晴らしいだけでなく、チャイコフスキーや音楽が好きで、心から尊敬していることが伝わってくる。どんなに新奇で普通とは違う演奏でも、その底に音楽が好き、というベースがあることわかる。だから彼の演奏は目が離せない。いつも新しくて、いつも生きている。その場を共有できることが貴重で、とてもありがたく思う。

コンサートの後は、母との予定で新宿の岸田劉生展に急いだが、気持ちはすっかりロシアになっていて、夕食は駅ビルのマトリョーシカ(ロシア料理)にした。(ビーツではないけど)トマト味のボルシチと、チーズたっぷりのつぼ焼き、木苺のタルトがおいしかった。

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June 07, 2009

ジャン=ジャック・アノーの「トゥー・ブラザーズ」

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カンボジアの緑滴る密林、下生えを踏みしめる虎のビロードのように美しく弾力のある足。アンコールワット遺跡を風のように駆け抜ける姿。動物も遺跡も物語も美しい映画。子供の頃、シートン動物記が愛読書だった私にとって、「トゥー・ブラザーズ」は大好きな映画の一つだ。約5年前の映画だが、私は4年前に新聞社の上映会で見て、すごくアンコールワットに行きたくなった。暑さにバテそうなのが怖くてまだ実現していないのだが。今回、DVDで4年ぶりに見た。

王様(シアヌーク殿下?)が出てくるので60年代のカンボジア王国時代だろうか。アンコールワット遺跡で生まれた虎の兄弟が、運命に翻弄されて離れ離れになり、それぞれ人間と関わり、成長して思わぬ場所で再会し、自然に戻っていく。

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まず虎たちの表情や動作が素晴らしくて見飽きない。子虎同士のじゃれあい、大人になってからの親しみの表現など、生き生きしていて、微笑ましくて、特に猫好きの方にはおすすめ!さらに背景のアンコールワット遺跡。仏像や浮き彫りの陰影と森の緑や透明な水との調和。光の効果や抑えた色の捉え方が美しくて、さすがフランス人の映画だと思う。フランス植民地時代のお屋敷や生活、王様一行の象に乗っての狩猟風景、遺跡の盗掘、現地人の抜け目なさ等、歴史物としても楽しめる。英国人冒険家エイダン役のガイ・ピアースは、少年のような透明な純粋さがあり、少年役のフレディ・ハイモアも芯がしっかりした美少年で好感が持てる。お話は、やや擬人化・理想化されているのだが、物語として美しく、調和が取れているので満足。とにかく動物・遺跡・歴史・冒険好きの方にはおすすめ。

ジャン=ジャック・アノー監督の作品は、これ以外に「薔薇の名前」、「スターリングラード」を見た。「スターリングラード」はロシアの狙撃兵(ジュード・ロウ)が主人公だが、イギリス人俳優が中心なのでロシアらしさはいま一つ。しかしラブシーンには圧倒された。ほんの短時間だが説得力があってすごくセクシーなのだ。動物映画が撮れる人は、生き物のエネルギーや生命力に敏感で、ラブシーンも上手なのかもしれない。さらに、俳優の選択も的確で、私の好みにも合っている(ショーン・コネリー、ジュード・ロウ・・)。これもやはり、動物映画が撮れる人は、人の基本的な(動物的な)魅力に敏感で、その人の美しさを引き出すのが上手だからかもしれない。

また機会があったら彼の他の作品(「人類創世」、「小熊物語」、「愛人/ラマン」、「愛と勇気の翼」、「セブン・イヤーズ・イン・チベット」等)も見てみたい。

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May 10, 2009

ダイエット成功!

まさか大台を超えるとはsign01 体重計で再び4X台の数字を見ることができるとはsign03
今年の目標には入れていなかったが、私にとって10年振りの3キロ体重減は快挙だった(大げさ)。

ダイエット成功のきっかけは、1月末にある友人が厳しくダイエット中であることを、メールで伝え聞いたことだった。
とりわけ「理性ある食べっぷり」という言葉にはドキリとした。
いつも一緒にいる母親にはもちろん、姉妹や厳しい叔母にも、会う度に出ているお腹penguinを指摘され、自分でも服がきゅうくつでイヤで(いつか痩せるつもりなので、大きなサイズは買わずにムリヤリ着ていた)、痩せなきゃと常に思いつつ、食べるのが大好きで、何があっても食べている時は100%幸せ!という性格もあり、もう10年近くこの体重(身長157cm、体重53キロ)が変わらないので諦めかけていた。

上記の友人のメールで刺激を受けた私は、とりあえず好物のポテトチップスやスナック類を止めてみることにした。その頃、食後になんとなくポテトチップスを開けて半分以上食べてしまう癖がついていたのだ。ご存知の通り、ポテトチップスは高カロリーで、半分で止めてもご飯一杯分ぐらいになってしまう。
私はとても意志が弱いので、「買わない」→「家に置かない」→「目に触れない」のがコツだった。

併せて、最近サボり気味だったスポーツクラブを週2回は行くように心がけ、ヨガの後にマシンと自転車漕ぎ(20分)で汗を流すようにした。私はオタクで怠け者cat。運動に時間を割くのは面倒、と思う方なので、やや高負荷気味にして、短時間で集中してやるのがコツ。
ただ運動は、直接の体重減よりも、筋肉量を増やして代謝量を増やすことと体力強化が目的なので、汗を流した後は時々ケーキcakeも食べて、ご褒美にした。
その他、日常生活では、エスカレーターを止めて階段にする、通勤ダッシュrun(やむを得ずしていることだが・・)などで運動不足を補うようにした。

また、これは少し前からしていたことだが、休日は少なめに食べるようにした。夜型なので休日はお昼近くに起きることが多く、一食目はブランチになる。これを2食分だからと多めにはせず、平日並みにトースト、スープ、コーヒー等、軽めにする。お腹が空いたらおやつをつまみ、夕食~夜食はいつも通り、肉、野菜、豆類、卵、ヨーグルト、りんご等、タップリ食べる。
休日だけのプチ減食という感じだが、お腹が空いたら少し食べ、空かなければ食べないようにし、無理せず小食気味にして、平日の食べ過ぎを調整する感じ。

その結果、1ヶ月後には2キロ減、その後もゆるやかに減って、3ヶ月後には49kgが定着した。ジーンズdenimのボタンを嵌めるのに努力する必要が無く(当たり前?)、お腹は半円形がなだらかな丘になり、丸顔がやや細くなり、足捌きが軽やかになり、立ち上がるのがラクになり、軽い腰痛も無くなった。体重がいかに体に負担をかけていたかがわかる。

今回、ポテトチップス断ちをきっかけに体重が減り始め、それが嬉しいので励みになって、スポーツクラブ、休日の減食など、いつもの習慣をサボらず実行できたのが良かったようだ。私は食べるのが好きだし、24時間いつでも食べれるコンビニ胃24hoursなので、気を緩めるといくらでも太ってしまう。今ぐらいの体重が快適なので、今後は理性で本能を抑え、この体重を維持していきたい。

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May 04, 2009

ドトールのバウムクーヘン(その後)

ドトールのバウムクーヘンについて書いてからすぐに、ドトールのバウムクーヘンが変わってしまったので、情報追加。

色は、以前の黄金色から、茶色の筋(年輪)が入ったものに。
食感は、前よりもしっとり感が無くなり、パサっとした感じ。
原材料は、以前と比べて発酵バターの順位が後ろにずれ、その前にトレハロース、オリゴ糖、アーモンド、生クリームが入っている、発酵バターの使用量が少なくなったような? また、これまで書いてなかった洋酒、脱脂粉乳等が入っている。
味は、発酵バターの香りが薄くなり、バニラのようなやや人工的な香りが残る。

休日のブランチ後しばらくして食べた感想は、前の方がおいしかった。
コンビニのバウムクーヘンの味に近くなり、個性が無くなってしまった。
また違う機会(もっと空腹の時など)に食べて、確かめてみたい。

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April 11, 2009

おいしい発酵バター(ドトールのバウムクーヘン)

ヨーロッパやその影響を受けた国(モロッコ、チュニジア等)に旅行すると、朝から嬉しいのはパンとバターがおいしいこと! パンはいろいろ種類があるが、外側がカリっとして中がふんわりしたフランスパンタイプが好きだ。そしてバターは、なんともいえず味にふくらみのある発酵バター。機内食でもこれが出ると大喜びで、旅行して良かったと思うことの一つなのだが、何故か日本ではポピュラーではない。
先日、三越のフランス展で「エシレ発酵バター」というのを試食して買ってみたが、50gで500円ぐらい(フランス展では450円ぐらいとややお得)するので毎日使うわけにはいかない。

ところで私はバウムクーヘンも大好物なのだが、良く買うのはドトールの130円のもの。何故おいしいのかと思ったら、発酵バターが入っているからのようだ(コンビニエンスストアの同程度の価格のものは、見かけは同じでも、油っぽくて甘いだけで、あまりおいしくない)。3年ほど前、このドトールのバウムクーヘンが突然発売中止になったことがあった。おやつの品揃えを変えたからだったようだが、これは大変!(ドトール以外に発酵バターを使ったバウムクーヘンを知らないので、無くなるとすごく残念)と、急いでドトールのホームページに意見を書いた。また、その頃たまたま会社の同僚で、友達がドトールに勤めているという人がいたので、その人を介してもお願いしてもらった。そのせいかどうかはわからないが、しばらくしてドトールのバウムクーヘンは復活した!今でもドトールを見かけるとバウムクーヘンを1つ買って帰り、家に1つは常備して、休日のおやつにしている。

話が逸れたが、発酵バターが何故こんなにおいしいのかというと、微生物による発酵で味がまろやかになり、深みが出るからだろう。発酵食品はおいしくて癖になるものが多い。私が特に好きなのはキムチで、晩御飯はこれと焼肉(強すぎない火で柔らかく焼くこと)があると毎日でも大満足する。納豆やチーズも大好きだ。ポーランドのジューレックというスープも、ライ麦を発酵させたスープで、やみつきになる。同じくポーランドのビゴスは、酢漬けキャベツを発酵したものとソーセージやキノコを煮込んだ料理。チュニジアでは、ハリッサという調味料(唐辛子+ニンニク+オリーブオイル)をスープやお料理に入れるとおいしいのだが(キャベツの味噌汁に入れると合うので毎晩のように食べている)、これも発酵させた玉ねぎが隠し味になっているそうだ。

今の日本では無発酵バター(有塩)が主流だが、乳製品業者は是非発酵バター(できれば無塩)を作って欲しい。昔、無糖のブルガリアヨーグルトが最初に売られた頃は、瓶詰めの、寒天で固めたような甘いヨーグルトが主流で、プレーンヨーグルトはすっぱすぎると思われていたようだが、今ではすっかり普及した。
発酵バターもおいしいので、作ると絶対売れると思う。
(インターネットで検索したら、「明治発酵バター」(無塩)がありました。450gで 945円です。ただ送料が1050円もかかるので、まずはお店で探してみます。)

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March 28, 2009

青山ユニマット美術館(3月閉館)のシャガール

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火曜日の午後に外苑前の青山ユニマット美術館に行った。残念ながら3月で閉館になるそう。ここに行くのは約2年前の2月11日、レーシック手術2日後の検診の後に始めて行って以来。その時は、解説文が二重に見えたり、ライトで照らされた絵が滲んだりしてやや見づらかったが、今回は落ち着いて見ることができた。

ユニマット美術館はビルの中の小さな美術館で、まずエレベータで4階に上がり、3階、2階と降りていく。4階はシャガールだけの大部屋で、壁に14枚の絵が並んでいる。大ぶりで素晴らしい絵が多い。最初の絵は画学生時代に妹を描いた絵。色は茶色の濃淡だけで、暖かい雰囲気はあるが、泥臭い。パリに出た後は急に色彩豊かになり、赤、青、緑の原色が鮮やかな、おなじみのシャガールの絵になる。

最初に目を引くのはこの美術館の看板絵でもある「ブルー・コンサート」。真ん中でマリア様のような清楚な白い顔の女性が緑色のヴァイオリンを弾き、青い羊が笛を吹き、優しそうな瞳の鶏がいる。背景はラピスラズリのような深みのある青と、血のように鮮やかな赤。この絵が描かれたのは第2次世界大戦当時、ユダヤ人虐殺を逃れてアメリカに亡命し、愛妻ベラを伝染病で亡くして9ヶ月後、ようやく立ち直りかけた頃だという。シャガールはベラを溺愛していたそうだが、上映していたビデオで見ると素晴らしく魅力的な美人で、一目で納得してしまった。

他に、緑色が基調の絵で、大きな雄鶏がヴァイオリンを持つ男性に羽を上げて挨拶している絵も気に入った。童話の世界のような愉快な表情なのだが、色のバランスが絶妙で美しい。羽に十字架模様がいくつも浮き出しているのはどこかの国旗のようにも見える。晩年になると(97歳まで生きたそう。画家は長生きの人が多い)、白が多くなり、赤や青の点描で描かれた花束等、柔らかで天国のような絵になっていく。

大部屋の真ん中のソファに座ると、ほとんどの絵をぐるりと見渡すことができる。大分前のことだが、雑誌に「飾るだけ幸せになる絵」というような、やや宗教がかった絵の広告が頻繁に載っていたことがあったが、シャガールの絵もまさに癒し絵。見ているだけで幸せになる気がする。しばらくソファに座って見ていたが見飽きない。一つ一つの絵に物語があり、劇を見ているような気分になる。背景に牛が飛んでいたり、魚が花束を捧げていたり、故郷のロシアの村が描かれていたり、奇想天外なのだが不自然ではない。全てがそこに描かれるのが必然、という気がするのは天才だからだろうか。素晴らしいということはわかるのだが、なぜそうなのか、言葉では説明しづらい。シャガールの心の中がそのまま描かれている感じがする。

シャガールは若い時に故郷ロシアを去り、生涯のほとんどをフランスで過ごすことになったが、彼自身、「フランスに来なければシャガールは無かった」と言っていたそうだ。ふと思ったのだが、人間関係が濃密で土の匂いがするロシアと、軽やかな個人主義のフランスという、対照的なものの出会いがこれらの素晴らしい絵を生んだのではなかろうか。ロシアの土臭さと魂、フランスの洗練が絶妙に溶け合っているような気がする。話が逸れるが、私がロシアに惹かれたのは、自分とは違う価値観や考え方、理解できないものがあったからかもしれない。懐が大きな国なので、違いというものもあっさり飲み込んでしまう国なのだが。個人主義でわがままな私が何故ロシアに惹かれるのだろうかと思っていたが、シャガールの絵を見ていて、全て理解できなくてもいいのではないか、違ったものの出会いも面白いのではないか、と思った。

美術館の3階に降りると、シャガールの小品が並んでいる。その他の画家では、エコール・ド・パリや、フランスの画家の絵が多い。クールベのスイスの湖に迫り出したシヨン城を描いた絵が美しい。静けさが漂っていて、厳しい精神性が感じられる。マルケの港を描いた絵も気に入った。海や船を描くのが好きだったそうだが、青緑色の海の色が、何とも言えず引き込まれる感じだった。
ユトリロ、ボナール、キスリング、モディリアニ、ヴラマンク、藤田嗣治、ローランサン等も、それぞれ枚数は少ないが、良い絵が多くて楽しめた。

これらの絵はユニマットの別の美術館(伊豆にカシニョールの美術館と香りの美術館、長崎にガラスの美術館があるそう)に移されるのか、ばらばらに売られてしまうのか。。都心でこれだけまとまったシャガールやパリ派等のコレクションが気軽に見られなくなるのは残念だ。

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March 15, 2009

ダニエル・クレイグの「ディファイアンス」 

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昨日は日比谷のシャンテ・シネで、ダニエル・クレイグ主演の「ディファイアンス(抵抗)」を見てきた。
ダニエル・クレイグは、2年前に007のボンドに抜擢された時から、ロシア人に似ているなと思っていたのだが、こんなに早く彼のロシア語が聞けるとはsnow
この映画は先日007を見た時にちらしを見て知ったのだが、ベラルーシが舞台と知り、スラヴ人役、似合いそうだなあ!と期待していたら、実際はユダヤ人役でした。

話は1941年夏に始まる。ナチスがポーランドの村に侵入してはユダヤ人を虐殺していた頃、ビエルスキ4兄弟も農村の両親を殺されて、隣接するベラルーシの森に逃げ込む。長男のトゥヴィア(D・クレイグ)、次男のズシュは、自分たちと同じように森に逃げてくるユダヤ人たち(老人や女子供も多い)を集めてコミュニティを作り、長男のトゥヴィアをリーダーに武装を整え、ナチスに協力する村人に仕返ししたり、ゲットーからのユダヤ人逃亡を助けたり、ロシア赤軍と協力したりする。
だが第一の目的は「生き残る」こと。数多くの人たちを養うための農村からの食べ物の略奪、冬の寒さの厳しさ、突然のナチスの攻撃(空爆、歩兵)等、気が休まることはない。トゥヴィアもズシュも、逃げてきた人たちから別の村に残してきた妻子の死を聞くことになり悲しみに耐えるが、厳しい生活の中でロマンスも生まれる。

映画の主な舞台は森の中での逃亡生活。トゥヴィアを頼って合流し、どんどん増えていく(最後は1200人になったそう)ユダヤ人たちを養うために、家を作り、食料を調達し、規律を守らせなければならない。森の冬は寒さが厳しく、土に掘った穴に丸太を組んだ小屋は暖房も無く、食べ物や薬が足りないため、健康を害する人が多く、ぎりぎりの状態が続く。食べ物を争って内部抗争も起きる。トゥヴィアは心優しく強いリーダーだが、完璧ではなく、迷ったり、健康を害したり、弟と争ったりと、弱い面も見せる。このあたりは007の未熟なボンド像と重なるところがあり、いかにも性格が良さそうなダニエル・クレイグの演技がぴったりはまっている。理想家の彼を支えるのが3人の弟たち。血気盛んで現実的な次男ズシュは、トゥヴィアと対立してコミュニティを離れ、ロシア赤軍に入るが、そこでも(共産主義に反するとはいえ)ユダヤ人差別があり、溶け込めない。ズシュを演じるリーヴ・シュレイバーも存在感のある俳優で、迫力のある演技を見せてくれる。三男アザエル(ジェイミー・ベル)は線の細い美青年に見えるが、窮地で兄を支えて指導力を示す。

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私はポーランドやベラルーシでナチスに迫害されたユダヤ人が森の中でコミュニティを作り、ロシア赤軍と協力して抵抗していた、ということを知らなかったので、歴史的にも興味深かった。また、撮影は、リトアニアの森で行われたそう。昨年秋にたまたまバルト三国を旅行して、朝もやに煙るリトアニアの森と湖の美しさが印象に残っていた。森の中に入る機会はなかったが、今回の映画はうっそうとした森の中のシーンがほとんどで、その様子を感じることができた。
余談になるが、昔、ベラルーシ人の先生にロシア語を習っていたことがあって、故郷の森で夏を過ごすのがどんなに素晴らしかったかを話してくれたことがあった。この映画では厳しい冬の寒さの方が印象に残るが、いつかベラルーシやリトアニアの森をゆっくり散策してみたい。

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また、ダニエル・クレイグやロシア赤軍の軍人たちの会話でロシア語(ロシア民謡もnotes)を沢山聞くことができたのも個人的に嬉しかった。リトアニア人の俳優も多く出演していたようなので、ロシア語は堪能なのだろう。(バルト三国は旧ソ連から独立したとはいえ、今でも共通語はロシア語のようで、昨年秋の旅行では、リトアニア人のバスの運転手さんが、ラトビア、エストニアに入ると各国のガイドさんとロシア語で話していた)。

話が脇に逸れたが、この映画、ユダヤ人が作ったユダヤ人のための映画、という感も無いではないが、埋もれた史実を掘り起こした製作者の情熱が感じられ、個性的な俳優たちの演技も素晴らしい、良い映画だったと思う。

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February 15, 2009

007 慰めの報酬 -Quantum of Solace-

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水曜日は有楽町の丸の内ルーブルに「007 慰めの報酬」を見に行った。前作の「カジノ・ロワイヤル」から2年ぶり(早い!)の007。その時も同じ映画館で見たのだが、当時の館名は「サロンパス ルーブル丸の内」で、入口で久光製薬の美容液マスクが配られた。今回は無いのねー、と思ったら、12月に経営権が移って館名も元に戻ったらしい。

ボンド役のダニエル・クレイグは、ゴツくて寡黙で憂いを秘めた顔がちょっとロシア人みたいな雰囲気で、古典的ハンサムではないけれど、青い瞳に翳る睫毛や気取らない笑顔が魅力的。ボンド役2度目の今回は、ぎこちなさが取れて余裕が感じられた。
ボンド・ガールはキュートなスラブ美人のオリガ・クリレンコ。役はボリビア人とロシア人のハーフの設定なのに、役名はなぜかカミーユというフランス名。悲しい過去を持ち復讐に燃えているせいか、不機嫌そうな口元で上目遣いの瞳に暗い怒りを宿している。

007と言えば、期待するのはまず何と言ってもカッコイイ男!タフで頭が良くて度胸があり、鍛え上げた体にスーツが似合わなければならない。それから、優雅な世界各国巡りにゴージャスなホテルやバー、美女や悪役との機知に富んだ会話と駆け引き・・。それらを期待して見ると、今回はやや地味な感じで(ボリビアの砂漠がメインのせいか・・)、盛り上がりに欠けていた。それに、もうちょっと色気も欲しかった(最後は「えー、これで終わりなのsign02」と思った)。

とは言え、最初の古都シエナの競馬祭りに屋根瓦を落としながらの追っかけシーン、オーストリア湖上の舞台で上演される「トスカ」の舞台裏での陰謀と格闘、ボリビアの裏町、クラシックな銀色の輸送機と戦闘機の山岳上空での空中戦等、見所はいろいろあり楽しめた。ボンドが観劇のために着換えたスーツ姿も、いつもながら仕立てが良さそうで、鍛えた体にぴったりフィットしてカッコ良かった。

悪役は、前作「カジノ・ロワイヤル」のマッツ・ミケルセンheart04と比べると魅力・迫力がいま一つ。普通の人みたいで弱そうで、怖さが感じられなかった(精神的な対決シーンや拷問シーンも無いせいか・・)。
大御所ジュディ・デンチのMは相変わらず強くて威厳があって権力もあり、未熟で繊細なボンドを見守る姿は母のような感じ。

ところで、ほぼ同じ時間に別の映画館で見ていた妹も言っていたのだが、話が前作の続きなのだが、見る方はもう2年前なのですっかり忘れていて、わかり辛い(最初に前回のおさらいをしてもらえると思い出せて良かったかも)。特に最初の方は展開が速くてついていけなかったが、とりあえず誰が悪役で何が目的なのかを理解しようと努めつつ、映像を楽しむことにした(妹は私と違ってストーリーがわからないと楽しめない方)。

前作「カジノ・ロワイヤル」(おしゃれで洗練されたシーンが多かった)と比べると、汗とホコリまみれのシーンが多くて、ボンドの人間らしい魅力が感じられたのは良かったが、盛り上がりはいま一つだった。007に人間ドラマを持ち込もうとしたのかもしれないが、それにしては時間不足で十分描ききれていなかったように思う。

E74ecc13s_2もしかしたら時代が変わったせいかもしれない。海外旅行は当たり前、技術の進歩が早くて何を見てもそれほど目新しさや凄さを感じない、マッチョな男よりも草食系男子が好まれたり、女性も権力や経済力を握れるようになったり。また、所有することやうわべの贅沢さよりも精神的なものが求められるようになっている。そんな中で、007シリーズも試行錯誤しているのかもしれない。

中学生時代からの007ファンとしては、ボンドはいつの時代も強くて知的で繊細でセクシーでカッコイイ、理想の男でいて欲しい。また、非日常の世界や冒険で楽しませて欲しい。

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February 01, 2009

初めての生N響

昨日は初めてN響のコンサートを聴きに行った。渋谷のBunkamuraで15:30から。私としてはちょっと奮発してA席にしたので、3階でも舞台の方に低くせり出したテラス席で、とても見やすく聴きやすい席。

これまでは、ソリストや指揮者が好き、又は気になる、という理由以外で日本のオーケストラを指名して聴きに行ったことは無かった。それは、折角西洋の音楽を聴くのなら、そちらの演奏者の方が、体に染み付いたリズムや音楽を自然に表現できるのは自明のことだし、その演奏を通じて西洋の雰囲気と文化(音楽)を味わいたいから。
私としては、日々の眼に見えないけれども息苦しい日本社会の圧迫感や緊張感をしばし逃れて非日常に遊びたい。お寿司やお寺や美術など、日本の文化や美しいものは大好きなのだが、わざわざクラシックで和風を選ぶこともないと思ったから。

でも、前にチェコフィルの某指揮者が「弦のパートを丸ごと取り替えたい」、と言ったというN響の演奏を、一度は生で聴いてみたいと思っていた。

今回のプログラムはドヴォルジャークの「スラヴ狂詩曲第1番」、モーツァルトの「フルートとハープのための協奏曲」、最後がドヴォルジャークの「交響曲8番」。指揮者はチェコ人のラドミル・エリシュカという年配の小柄な人。
最初のスラヴ狂詩曲はちょっと物足りなかったが、二曲目のモーツァルトはN響のきめ細かさが生きてとても心地よい。良く聴く曲で、明るく優雅な感じ。フルートの独奏はアンドレア・グリミネッリというハンサムなイタリア人男性。ランパルに師事していたそう。1楽章の最後のカデンツァは、ドキリとするほど色っぽい音楽を聴かせてくれた。ハープの平野花子もハリがあって初々しい。この二人の掛け合いは、3楽章までとても楽しめた。
そして最後の交響曲8番。チェコフィルなどの演奏で良く聴いた曲。N響はさすがに一糸乱れず、ソロも上手で、上品に盛り上げてくれる。ただ、途中で大河ドラマの侍を乗せた馬が走ってくるシーンを思い出してしまうのは、きっちりしたリズムのせいだろうか。
チェコ独特のリズムの揺れや遊びを真面目(?)なN響に期待するのは無理なのかもしれないが、一流オーケストラの上手な演奏はやはり心地良く、楽しめた。

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January 07, 2009

田渕俊夫展

毎日のんびり過ごした幸せなお正月休みが終わり、月曜日から会社が始まった。毎日時間が足りなくて、睡眠不足になって疲れてしまうのだが、今年も懲りずに、昨日は会社帰りに日本橋三越に寄って、田渕俊夫展を見てきた。

例によって前提知識も無く、有名な画家らしいのに名前も知らないまま見たが、「画業40年 東京藝術大学退任記念」とのこと。日本画といっても古臭さは全く無く、新鮮。葉や花を描く線がとても美しい。一日パソコンに向かって疲れきった目に、木々の柔らかな緑色がとても優しい。心にすーっと入ってくるような素直な絵が多くて癒される感じ。

霞ヶ関の夜を描いた絵があった。ずらりと並ぶ高層ビルの窓が灯り、全景にはお堀がかすかに光っている。空には満月が煌々と照っている。以前同じような情景を見たような気がしてくる。夜、中国のホテルの一室から外を眺めた絵がある。ホテルの名前の文字の大きなネオンが裏から見えていて、窓下に暗い大通りがある。これもロシアのホテルで似た風景を見たような気がする。その時のちょっと寂しいような気分まで思い出す。富士山が澄んだ青い色の山頂を雲海から覗かせている絵は爽快でのびのびする。清水寺の絵は、赤い柱やもみじの赤が、日本画独特の宝石のような岩絵具で塗られていて、燃えるようにきらめいている。

後半の方は大作の墨絵の屏風画や襖絵が多い。墨絵なのに色まで感じられるような素晴らしい描写。その中でも「緑溢れる頃」という、逆光に浮かび上がる木の絵があまりに美しくて、何度も何度も戻って見た。墨絵なのにどうしてこのように光や空気や情感まで描けるのだろうか。絵の前に立つと、本当にマイナスイオンが出ているような感じがする。

福井県の永平寺の襖絵「雲水」や鎌倉の鶴岡八幡宮の襖絵も、シンプルな線なのに的確で、雲や水や空気の動きがいきいきと感じられる。日本画というと、大人しすぎて主張が無く物足りないと思うこともあるが、田渕俊夫の絵は一瞬の中に永遠があるような、記憶の底にある思い出や情感を揺さぶられるような、見ている自分も描かれている自然や風景の中に溶けこむような気がする絵が多い。

この日本橋三越の展覧会は18日まで。その後は1月14日~1月27日に同じ日本橋のタカシマヤで、「智積院講堂襖絵完成記念 田渕俊夫展」が開催される。また別の絵が見られるのが楽しみだ。

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